解雇規制緩和の議論を考える

解雇規制緩和、現在安部政権における日本の成長戦略の一つのキーワードになっている言葉ですが、これをどうみるか。

 現在、正社員と非正規社員の数は、それぞれ3,281万人と1870万円(総務省統計局『労働力調査』2013年1~3月期平均)とされています。労働者に占める非正規社員の割合は36.3%、3人に1人以上が非正規社員として働いてる計算です。

非正規社員が自らの意思で望んだ立場であれば何も問題はないのでしょうが、現実は正規社員になれないから非正規社員にならざるをえない、そして、一度非正規社員になってしまうと正規社員になれる可能性は非常に難しいものになる。そんなドキュメンタリー番組を何度となく見たことがあります。

では、なぜ正規社員と非正規社員といった分類がここまではっきりとでてしまったのでしょうか。それは終身雇用という理想のもと築かれた解雇が非常に難しい雇用環境のもと、日本経済の減速により生き残るためには雇用を調整せざるをえない企業経営者の苦肉の策として、派遣社員や短期間契約社員といった非正規社員が生まれることになり、それがこの20年で定着したということです。

 付け加えるならば、豊かになった家庭環境で育った若者層が、厳しい労働環境を忌避し、「自分らしく生きる」といった都合のいい思想をもって、社会人となったことも大きな要因として挙げられます。

結局、突き詰めていけば、日本という国全体が経済成長を成し遂げた結果として、それに満足し戦うことを忘れ、自分本位な行動に走るようになったことが、この非正規社員問題をはじめとするあらゆる問題の端緒となっているものと考えられます。

そこで、この甘えを廃する方法のひとつが、解雇規制の緩和になります。

解雇がしやすくなるということは、会社にとどまるために今以上にその職務に邁進しなければならなくなる。会社にとって価値がないと判断されれば首を切られてしまう、その緊迫した思いが企業の競争力を高め、日本の国際競争力を高めていく、と理想的なことを言えばそうなります。

ただ、現在の甘い環境に慣れてしまった日本のサラリーマンにそれが可能でしょうか。一度緩んでしまった気持ちはそう簡単に引き締めることはできない。ましてや、子供のころから甘い環境にどっぷりつかっている若者層には、大人になってから考え方を改めることは不可能だといえます。

そうなれば、行き着くところは過度なストレスによる求職者・失業者の増大、そしてこれを復帰させることがさらに難しいことからすれば、結局のところマイナスの影響のほうがはるかに大きくなると想定されます。

では、どうすればいいのか。これを考えるにはもっと長期的な展望が必要になります。短期的なマイナスはやむないものと受け止めなければならない。そして、もっと根本的なところ、日本という国として、社会として、どういうビジョンをもって、どういう痛みを乗り越えて、どういう施策を打っていくか、ということを決定し、実行しなければならない、と考えます。

一例としては、非常に重要な問題である子供に対する教育のあり方、その前に家族のあり方、人としてのあり方、といったものもしっかり決めていく必要があるでしょう。そういう根源的なことを無視して表面上だけの10年後10%給料アップといってもありえない話です。

まずは、日本という国がもはや土壇場に追い詰められていて、大きなクライシスなしには、そして時間をかけなければ、立ち直ることもないということを認識するところからはじめるべきではないか、そう私は思っています。

と、話が変な方向にそれてしまいましたが、そういう政治家がすべきような話は横に置いて、企業経営者としては如何に会社を構成する社員に、会社にぶら下がるのではなく、会社を支える側にまわってもらうか、ということに挑戦していかなければなりません。解雇規制の緩和は経営者としては歓迎すべきことではありますが、それがなかったとしても社員の甘えを許さない社風、そのために経営者自らが襟を正して社員に範を示すことが、特にこれから必要なるのではないでしょうか。

 

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投稿者:yamamura