厚生年金基金解散促進について思う

厚生年金基金(約560基金)に解散を促すこと等を盛り込んだ年金制度改革関連法が19日、参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決、成立しました。同基金全廃方針を撤回し、財政が健全とされる約1割の基金は存続を認めたものの、残りの9割は5年内に解散することになります。

当然、厚生年金基金が解散すれば、基金に加入している主に中小企業の従業員の老後の給付が減ることになりますが、昔と違って最近の基金の給付はかなり少なくなっているため、それほどの影響があるとは思いません。また、基金に掛金を支払っているのは企業だけですから、従業員が自ら積み立てた掛金がなくなってしまう、といったことではありません。

問題は、厚生年金基金が解散するときに生じる損失をどう処理するのか、ということです。今回、解散が促進されるきっかけはAIJ投資顧問による年金消失事件ですが、その根源には厚生年金基金の運用結果が約束した給付水準に及ばず、累積的に損失を計上していることがあります。大部分の基金では給付水準を大幅に引下げ、損失の拡大を阻止する措置をすでにとってはいますが、過去に累積した損失を解消することは到底かなわず、その損失は特例掛金として10年、15年といった期間で加入企業が負担してしつづけているというのが実際のところです。

基金に加入している多くの中小企業が、この特例掛金の負担に耐えかねて脱退したいと考えていますが、脱退するためには累積損失の一定割合を脱退時に一括精算しなければならず、抜けるに抜けられないというのが実情になります。

これが、今回5年内に解散ということになったわけですが、その場合、解散時の累積損失の精算は加入企業に一時に課せられることになり、多くの中小企業がその負担のために廃業ということになるかもしれません。

政府としては、そういうことにならないようにこれに対応した融資制度の創設や国の保証のものとでの分割精算といったことを行うとは予想されますが、それにしても基金に加入している中小企業としては厳しい現実が待っているといえます。

そして、基金加入中小企業の多くがその損失を分割でも払うことを断念し、廃業等にいたるということになれば、残念ながらこの負担は厚生年金制度のほうで処理しなければならなくなります。これは公平性の観点から残念な結果です。

ただ、基金に加入している中小企業にとっては、それを乗り越えなければ企業としての存続がない事態であり、なんとか乗り越えていかなければなりません。基金の運用の問題、日本経済の問題が前提にあるとしても、それをここまで看過してきたことには加入企業としての責任もあるのですから。

投稿者:yamamura