不動産管理会社による所得税・相続税対策

今日の午前中は、税理士会行田支部の勉強会に参加させていただきました。

テーマは不動産所有者の法人化に係る税務上の有用性を基点に、いろいろな実務的な問題について話があり、非常に有益な勉強会でした。

ここでは、本日の勉強会での基点となった不動産管理会社(自己の財産のために設立した同族会社)による所得税・相続税対策についてまとめます。

まず、収益不動産保有の課題としては、毎年の収益、累積に財産が巨額になったときのオーナーに課せられる所得税及び相続税の税率が非常に高くなることです。この課題を解決するために不動産管理会社を設立し、所得の移転を行うことが考えられます。

不動産管理会社設立のメリット、デメリットは一般的に次の通りです。

【メリット】
所得税・住民税の軽減 : 税率区分の高い個人オーナーから税率区分の低い家族へ所得を移転
相続税の削減 : 個人オーナーの相続資産の肥大化防止、、毎期の所得として家族へ財産の移転
その他 : 欠損金の繰越、給与所得控除、死亡退職金等の制度を活用可能性が高まる

【デメリット】
費用がかかる : 会社設立費用、赤字でも法人住民税均等割発生
手間がかかる : 個人と法人の所得計算の区分

このメリット・デメリットでみれば、デメリットは特にないと考えられます。

次に、不動産管理会社を利用した所得移転の方法として、管理委託、サブリース、不動産売却の三つが考えあれます。所得移転の効果は、この順番で大きくなります。

管理委託 : 不動産管理会社に管理業務を委託
サブリース : 不動産管理会社に収益不動産を貸付け、実際のテナントに転貸。空室や賃料下落等による逆ざやの可能性有り。
不動産売却 : 不動産管理会社に不動産を移転(時価で売却)

本日の議論でも、不動産売却がもっとも有効かつ税務処理上も安全、という意見が多かったです。ただ、不動産管理会社が不動産を買取るには資金調達の問題がある、不動産売却時に発生する不動産取得税・登録免許税が非常に高い、売却代金としてオーナーが受け取ったキャッシュをうまく処理しないと節税効果がなくなる、といった問題提起がなされていました。土地の取得時期が古い場合、オーナーに巨額の譲渡所得が発生するという可能性もあります。

また、状況によっては他に有利な選択肢もあり、売却のタイミングには注意が必要です。

例えば、土地の含み益が多額な場合は、譲渡益課税を避けるため建物のみを売却し、土地は賃貸借とすることが有利な場合が多いようです。建物が築後間もない場合は、「建物の時価」よりも「建物の相続税評価額」が低くなっているため、売却はせず相続税評価額の圧縮効果を選択したほうが有利です。別途含み損を抱えた物件がある場合は、含み益のある不動産と同時期に売却することで損益通算による譲渡益の発生を抑えることができます。

不動産管理会社の設立が本当に有利かどうかは一概には言えません。所得税、法人税、相続税、その他の税目全体をしっかり確認して、ベストに近い方法をとっていたければ幸いです。

 

 

投稿者:yamamura