不動産所有者の法人経営のメリット

Q 私は相当の不動産を所有している者ですが、法人経営に興味を持っています。節税対策として個人の不動産所得より法人での展開が有利となる点を教えてください。

A 節税対策というと多岐にわたりますので、所得税、法人税、相続税等の観点から説明をします。有利となる点も条件が変わることで不利となる場合もあるので注意が必要です。そこで、法人経営を考えるならば、個人財産全体の維持を経営の目標とすることがポイントだと考えられます。

(1)個人所得等の観点から
個人の不動産所得が法人事業の所得となり、自己に対する人件費が役員報酬として給与所得控除が受けられ、個人・法人を通じて節税効果があります。
また、不動産の収益が個人でなく法人に蓄積するので、後継者の経営の努力が適切に後継者の財産に移行します。
退職金は高い節税効果があります。

(2)法人税等の観点から
個人事情では収入を得るための直接的な費用が必要経費の基本です。しかし、法人では継続企業として積極的事業活動が前提ですから関連費用に幅があると考えられます。適正・常識の観点を逸脱していなければ費用の幅は広がります。
また、特に中小企業では税率が軽減されているので、個人ですでに高い税率が課されているならば、法人経営により節税効果も期待できます。
予想外に事業が赤字となるなら、個人の事業損失は3年繰越が限度ですが、青色申告法人なら9年間繰越ができます。計画通りとならなかった場合にはこの調整機能がメリットとなります。

(3)相続税の観点から
オーナー経営者が死亡したときは、所得税ではなく相続税にかかる退職金として節税効果があります。
会社の相続税法上の評価は非上場株式としての評価となりますが、常時使用する従業員数が5人以上であるなど事業実態を整備しておけば、資産保全型会社でも非上場株式の納税猶予制度を利用できる可能性があります。

(4)資産防衛の観点から
一般意個人事業では複式簿記を使って財政状態を検討することがありません。法人を利用して損益だけでなく財政状態を改善することが効果的となります。同時にオーナー個人の財産も管理すると効果が倍増します。
成功という意味でのsucceessと関連する言葉でsuccessor(後継者)があります。獲得した財産を有効に後継していくことも所有者に求められていることだと思います。
おおむね個人財産が3億円を超えるくらいになると考えられるときは、専門家を使って財産の健康診断と、計画的な後継対策と税金対策を行ってください。

《関係法令等》 所得税法28、法人税法2-15、57、66

以上は、「税のしるべ」25年6月3日号、やさしい税務相談室、税理士小澤豊先生のコラムの内容です。

 

不動産所有にはさまざまな税目が関連してくるため、各種節税スキームがそれぞれの税目にどのような効果を及ぼすかを確認し、その中でオーナーの重視する目的に対してどう最適化するかが必要になってきます。

税全般にバランスのとれた税理士に検討を依頼するべきですし、必要に応じてセカンドオピニオンをとることも有益であると考えます。

そして何よりも早い段階での検討開始が重要です。遅れればそれだけ打てる手が限定されることになってしまうのでご注意ください。

 

投稿者:yamamura