『The Goal』を読んで

久しぶりに経営指南小説?「The Goal」を読んでみました。

読んだのはもう何回目でしょうか?ゴールドラック氏が著した同様の書籍は何冊も出ていますが、大きな話題となった最初の本だけあって内容はもっとも充実していると言えるでしょう。

この本では、ザ・ゴール、すなわち企業の究極の目的を、問いかけています。

曰く、企業の目標はスループットを増やしながら同時に作業経費と在庫を減らすこと。 ここで、スループットとは、販売を通じてお金を作り出す割合。在庫とは、販売しようとするものを購入するために投資したすべてのお金。作業経費とは、在庫をスループットに変えるために費やす費用、と定義されます。

これについて、ちょっとコメントを。

まず、これは非常に常識的な目的、定義ではあるが、実際にはこういうことが理解されておらず、適切でない目的、目標に向かって突き進んでいる、あるいはそれがないから停滞している組織が多いという事実です。組織の方向を決めるのは適切な目的、目標であり、それはできる限りシンプルであるべきです。

多すぎる、また複雑な目的、目標は組織を駄目にしてしまうことに経営者は留意すべきでしょう。

次にこれはお金を中心に位置付けられた定義なため、キャッシュフローベースであると言えます。伝統的な会計の思考から敢て逸脱することで適切な管理会計の方法を模索した結果と言えます。いわば、過去思考の従来型会計から未来志向の新会計を提起しているものです。キャッシュフローベースでみれば、ともかくお客さんに売れないものはどれだけ時間をかけてつくってもそれは無価値です。それは当然だと誰もが思うでしょうが、同様の指標に従い疑問も持たずに日々ビジネスを組み立てているのが現実だというのは面白いことです。

伝統的会計の問題として、本書では在庫を増やすことが特に工場において利益を上げることにつながってしまうことと、固定費も含めた総コストを販売あるいは製造数量で割って単位原価を求めることで、最低販売価格が時として高く設定せざるをえなくなり、結果利益を生み出す販売機会を逸することにつながっていることを挙げています。

特に目新しい観点ではなく、現在はキャッシュフローベースの考え方が強くなっていますし、販売価格の決定に変動費と固定費を分けたコストを利用して計算する手法はかなり昔からあるはずです。ただ、それぞれがある目的に対して別個に存在している仕組みであったのに対し、本書ではそれを統合した形で示している点、評価される部分ではないかと思います。

投稿者:yamamura